福島原発事故をリスクアセスメントの視点で考える
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■□ テーマ：「福島原発事故をリスクアセスメントの視点で考える」
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企業は何となく、社員に対して、健康、安全、清潔な職場環境を
提供しようと思っています。その理由は、大概、定着率を
よくするとか、作業効率をよくする為の場合が多いようです。
しかし、実は事業者は、労働安全衛生法上の「安全衛生措置義務」
及び民法上の「安全配慮義務」という義務を負っています。
事故が起きてから事故防止対策を立てるというのは、
残念ながら、この法律を順守していることにはなりません。
そこで、労働安全衛生上、職場の安全性確保の為、
職場のリスクアセスメントが義務付けられています。
リスクアセスメントは職場のリスクを網羅的に抽出し、
優先度を付けて、災害防止策を実施する予防手段です。
ここで、リスクとはハザードと暴露との論理積のことを言います。
ハザードとは危険源のことを言い、暴露とはハザードと接触する
可能性を言います。論理積とは、ハザードがあり、かつ暴露があるとき
リスクがあるといい、ハザードと暴露のどちらかが無いときは
リスクは存在しないことを言います。
リスクアセスメントは大まかに言うと、
危険源のリストアップとその評価そして低減対策で構成されます。
リスク評価は重大性、災害発生可能性、危険に近づく頻度で
評価します。このリスクの評価基準は職場内で決めるものです。
リスクアセスメントのポイントは危険源のリストアップです。
ISO14121（機械類の安全性−リスクアセスメントの原則）では
危険源を標準化しています。それは、以下のようなものです。
１．機械的危険源（衝突・せん断・切断など）
２．電気的危険源
３．熱的危険源
４．騒音による危険源
５．振動による危険源
６．放射線による危険源
７．機械で処理、使用又は排出する材料及び物質による
危険有害物質・火災など
８．機械設計における人間工学原則の見落としによる危険
９．組み合わせ危険
１０．電源の喪失、機械部品の破損、その他の機能故障に起因する危険
１１．安全関連対策／手段の(一時的）不在及び／又は設置ミスに
起因する危険
さて、今回の福島原発事故ですが、
東電がリスクセスメントを実施していたかどうかは分かりませんが、
今回問題となった危険源が何点か、含まれています。
地震は防ぐことは出来ませんが、被害は最小限に
できる可能性はあります。
原発は事故が発生すれば、その重大性は誰でも理解できます。
職場の責任者が「安全配慮義務」を十分に理解し、
着実にリスクアセスメントを実施するのは現場力が必要です。
また、リスクアセスメントを実施しても
そのリスクの低減対策を吸い上げて、実行する仕組みが無いと
形だけのものになってしまい、いざという時に、
役に立たず、大事故に繋がってしまいます。
東電自体に、この仕組みがあったのでしょうか？
今の企業に求められているのは、
現場の声を吸い上げて、実行する仕組みを
作ることにあると考えています。
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【発行者】経営コンサルタント事務所
湘南経営アドバイザリー 代表 戸板 武志
【所属】日本経営士協会会員
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